我が国の癌死亡のトップは胃ガンでしたが、最近肺ガンがそれに取って代わっています。たばこが肺ガンの原因となることは広く知られていますが、実際肺ガンの9割が喫煙と関係があるといわれています。また、肺気腫、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患等の呼吸器疾患もたばこと深い関係があることがわかっています。
たばこの煙の中には200種を超える有害物質が含まれ、このなかで発ガン物質は主にタール中に存在し、細胞を傷害してガン化を起こします。この作用は肺のみに留まらず全身に及びます。困ったことにこの有害物質は、喫煙者が吸う主流煙より喫煙者の周りにいる人が吸う副流煙に数十倍多く含まれています。また妊娠中の母親の喫煙が流産や死産の原因のひとつになっていることも知られています。喫煙は胎児にも影響します。たばこを吸う母親から生まれた赤ちゃんは、吸わない母親から生まれた赤ちゃんよりも、成長が遅れる傾向があり、生まれてからも発育が障害されたり、乳幼児突然死症候群の原因になるともいわれています。
このようにたばこの害は多岐にわたりますが、我が国の喫煙率は40%近くで依然高率です。これは先進国の喫煙率が10%程度であることを考えると非常に危険といわざるを得ません。しかし害があるとわかっていてもなかなかやめられないのが実際です。でも、禁煙後には心肺機能、運動機能は徐々に回復し血圧の安定等も期待できます。肺ガンの死亡率が明らかに低下することもわかっています。
喫煙者の方には禁煙を強くおすすめします。最近ではニコチンを体外から補う治療法が禁煙成功率を上昇させています。当院では禁煙治療を積極的に行っております。是非、ご相談下さい。
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